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2007年 09月 29日
今日は曇天の一日。座敷を抜ける風は、突然秋のそれになっていた。
いつの頃からか、古いものに惹かれている。いや、古びたものと言うべきか。いっそ、朽ちた感じと言ってもいいかも知れない。メンテナンスフリーを奉る心境からは恐らく対極の目線だろう。ボロと古色は紙一重。風化する自然素材が色っぽい。いつまでもうれしそうにピカピカと光を放つステンレスなんて、成長のないこと夥しい。刻々と酸化し、赤茶けていくサビを見よ。そこには齢を重ねる味わいがある。 そんな光景に出会うと、ついつい見とれてしまう。錆びたトタンはその代表的なひとつ。工場、納屋、住宅など、あらゆる場所で用いられるトタンは、亜鉛でメッキされた鉄板のことだが、一般には波板の形状とともにイメージされるに違いない。いわゆるサビ色になった鉄板も風情があるが、さらに薄っぺらで脆弱なトタンは、どこかはかなげで柔らかい。それらが、何かの瞬間に美しいバランスを得ることがある。 古ければいい。錆びたトタンならすべて良し。ではまったくない。酷使された結果、風雨に晒された挙げ句、というのがいい。崩れかけた土塀、紫外線に痛めつけられた木壁。素材と時間のコラボレーション。「美しく壊れる」とは、哲人・原田左官の名言だが、まさに錆びたトタンはその様を見せつけられるような心持ちがする。それがもしうまくデザインに取り込まれたら。と考えると俄然興奮してしまうのである。 あまりここに書けない、密かに進んでいる仕事がいくつか。ホントに進んでいるのか? もどかしい。
by ezoenaoki
| 2007-09-29 08:37
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